妊娠しやすい身体を作る方法
妊娠するためには 妊娠しやすい身体作りをすることが非常に大切です。
特に身体の冷え・鉄分の補給・睡眠時間の確保は妊娠するうえで非常に重要なポイントです。
卵巣や子宮が毎日生き生きと働くためには血液と栄養が充分に届くことがととが大事なのです。
身体の冷えは、血液循環をよくすること・身体を温めることで改善ができます。
- フェリチン不足の改善
- 食事が身体を作ります
- 質の良い睡眠は良い卵子を作ります
- 日々の温め習慣
- ストレスがホルモンを乱します
- 楽しむことで身体が生き生きします
- 妊娠に悪い影響を与えるもの
- 一番大切なこと
フェリチン不足の改善
不妊症の最も多い原因に、血液不足が挙げられ、女性の60%以上が、「フェリチン不足(貯蔵鉄不足)」と言われています。
妊娠するために、どうして血液や鉄分が必要なのでしょうか?
血液は細胞に酸素や栄養を運ぶ役割があります。
なかなか赤ちゃんが授からない方は、卵巣の働きが低下している方がほとんどですが、卵巣へ栄養や酸素がたっぷり入った血液を行き渡らせることで、卵巣が元気になり、もともと持っている妊娠力を取り戻すからです。
鉄分は、細胞のエネルギー産生になくてはならないミネラルです。
鉄が不足するとエネルギーがうまく作られなくなり、卵胞や卵子がうまく成長するためのエネルギーができなくなってしまうのです。
鉄分が不足すると、活性酸素を消去する抗酸化酵素の働きが低下してしまい、卵子にダメージを与えてしまう心配も考えられます。
また流産の原因も鉄分不足(血液不足)と考えられています。
妊娠を希望する女性にとって一番大事な鉄分は、フェリチン(貯蔵鉄)という鉄分です。
血液検査では、血液中のヘモグロビンの濃度が正常であっても、このフェリチン(貯蔵鉄)が少なければ、組織中には鉄が十分な量ではないということになります。
ですから、妊娠を希望される場合は、フェリチン(貯蔵鉄)を調べることをお勧めします。
理想的には100~150ng/mlですが、最低でも50ng/mlは必要です。
アメリカの不妊治療現場では、フェリチン値が40ng/ml以下では、着床不全、早産、流産のリスクが高くなると言われ、少なくとも40ng/ml以上になるまでは、妊娠しにくいと考えられています。
体外受精、人工授精などをしても、妊娠しにくいケースのほとんどが、フェリチン値が非常に低値を示していることが報告されています。
鉄分を十分にとると、流産予防の他、うつ病やパニック障害の改善にもつながります。
●フェリチン(貯蔵鉄)不足の原因
-
- 肉や魚などのタンパク質の少ない食事
- 野菜や大豆製品ばかりの偏った食事
- 無理なダイエット
- 朝食抜きの生活習慣
- 玄米や豆類を常時食べる
- 激しいスポーツや筋肉トレーニングをよくする
また、生理がある女性は、毎月20~30mgもの鉄分と45mlの血液を生理で失っていますから、身体の血液や鉄分は減る一方です。
毎月の生理が始まると調子が悪くなる人が多いのは、急激に血液や鉄分が失われた状態になっていることが原因です。
フェリチン(貯蔵鉄)の不足は症状として現れないため、自分では気づかないまま進行していることが非常に多いです。
自分は大丈夫と思っていても、一度血液検査をお勧めします。
40歳以上で妊娠を望んでおられる方でも、フェリチン(貯蔵鉄)の数値が50ng/ml以上で、栄養状態がよければ、20~30歳代と変わらないくらい自然妊娠が可能です。
食生活が身体を作ります
■改善ポイント
- 食事は朝昼晩の1日3食、規則正しくバランスよく食べましょう。
- 肉や魚や卵などに含まれる豊富なタンパク質をたくさん摂りましょう。
- 食べ物には、身体を温める食べ物(陽性食品)と身体を冷やす食べ物(陰性食品)があります。身体を温める食べ物を上手に摂りましょう。
- 冬が旬のもの。北の産地のもの、地下や海中で取れるものなど寒い環境で取れたものは、身体を温めます。
- 夏が旬のもの、南でできたものは、身体を冷やす傾向があります。
- 生野菜のサラダや果物・青汁・野菜ジュース・豆乳・豆腐・牛乳・バナナ・マンゴー・ミカンなどは、身体を冷やす傾向があるので、特に注意が必要です。
- 身体を温める食品
- ■野菜類
しょうが、カボチャ、にんにく ネギ、大根、とうがらし、ご ぼう、ニンジン、さつまいも 里芋 ジャガイモ、ネギの白い部分、レンコン、玉ねぎ、らっきょ、かんぴょう、 かぶ、やまいも、ニラ、 シナモン、 切り干しダイコン、干し椎茸
■魚介類
ウナギ、サバ、ぶり、イワシ、エビ、貝柱、アジ、サンマサバ、ぶり、イカ、干した魚
■肉類 赤みの肉類
■加工食品
味噌、醤油、黒ゴマ、塩辛、日本酒、焼酎のお湯割り、酒かす、黒砂糖、天然塩、ウメボシ、タクワン、納豆
■果物類
リンゴ、くり、梅、ミカンの皮 - どちらでもない食品
- ■野菜類
ブロッコリー、小松菜、黒豆、枝豆、ダイズ、サツマイモ、カボチャ
■魚介類
帆立、シシャモ
■肉類 レバー、豚肉、鶏卵
■加工食品
玄米、黒パン、そば、あわ、稗、米、きくらげ、胡麻、ハチミツ
■果物類
いちご、イチヂク - 身体を冷やす食品
- ■野菜類
なす、きゅうり、ゴーヤ、トマト、みつば、ピーマン、レタス、アスパラガス、 もやし、ハクサイ、青梗菜
■魚介類
タコ、カニ、しじみ、牡蠣、赤貝、もずく、刺身
■肉類 カモ肉、ウサギの肉
■加工食品
豆乳、豆腐、うどん、牛乳、そうめん、コーヒー、マヨネーズ、カレー、胡椒、精白砂糖、清涼飲料水、甘いデザート、日本茶、タバコ、わかめ、ヒジキ、ハトムギ、アイスクリーム、カキ氷
■果物類
なし、柿、ミカン、スイカ、バナナ、レモン、マンゴ、パパイヤ、パイナップルなど南方の果物
質の良い睡眠は良い卵子を作ります
一昔前の女性は、平均5~6人の子供を持っていましたね。昔は、女性は家庭の中での家事が主な仕事で、今のように外で働くことが少なかったため、夜はゆったり時間を過ごし、現代より早め(9~10時)に就寝していました。この夜ゆったり過ごし、早めに就寝するということが、一昔前は妊娠率が高かった理由です。
そして、現在は職場での女性が男性と同じように仕事をする時代になりました。
仕事と家事をこなす女性は、たいへんです。仕事から解放された女性は帰宅後
家事で多くの体力と時間を使い果たすので、睡眠時間は世界一短いとの報告が出ました。
睡眠時間が少ないことや就寝時間が遅いことは、不妊の大きな原因のひとつになっています。
夜早く就寝するということは、赤ちゃんを授かるために食事に次いで大切なことです。
なぜなら、卵胞と卵子が育つのは、夜が中心だからです。また、排卵も夜に起こることが多いとされています。
ホルモンが分泌されるのも就寝中です。
夜まで仕事をしたり、夜更かしをすると、エネルギーや血液が消耗されることで、卵巣への血液量が少なくなり、卵胞や卵子の成長が悪くなったり、排卵が起こりにくい状態になってしまいます。
深夜まで、体力や気力を使っているわけですから、ホルモンの分泌も悪くなり基礎体温も整わず、アンバランスになりがちで、生理不順の女性がたいへん多いです。
妊娠を希望される方は、遅くとも12時まで(できれば11時くらい)就寝し、卵胞や卵子を作ることが大切です。
日々の温め習慣
- お風呂
- 最近はシャワーで汗を流す方が増えましたが、赤ちゃんを望んでおられる方は、ゆったりとお風呂に浸かりましょう。1日に疲れを取り、冷え性の原因となるストレスも緩和でき、気分が良く、リラックスできるので、いろいろな利点があります。
お風呂の温度は39~40℃くらいがお勧めです。
少しぬるめの温度にゆったりと湯に浸かることで、身体の芯まで温まり、精神的な疲れも改善され、身体の冷えも緩和され、血液循環がよくなり、身体各部の働きもよくなり、疲労物質が汗などとして排除されます。血液のめぐりを良くするには、10~15分くらいゆっくり浸かりましょう。
また、季節の果物や野菜などをお風呂に入れるのも、身体の温めるにはお勧めです。- ゆず・・・血行を促進する作用
- みかんの皮・・・温め効果
- 大根・・・発汗を促す作用
- 昆布・・・保温効果
- 湯たんぽ
- 女性の85%が日常生活で冷えを感じるという報告があります。1日の中で、湯たんぽを上手に利用し、冷えた卵巣や子宮を温めましょう。
また、1日の終わりにも疲れた身体を温めましょう。
疲れた身体には、冷えも隠れています。その日の冷えは、その日のうちに取りましょう!お休み前の10分ほど、太ももの内側で湯たんぽをはさみます。
湯たんぽがない場合、ペットボトルに40℃程度のお湯を入れて代用できます。
その他、下腹部や股関節なども温めます。
身体の芯から温まり、リラックス効果、安眠効果もあります。 - 服装
- 薄着は、身体を冷やす元凶です。お腹や太ももが多く出ているファッションや冷房の中の素足などは、確実に冷えが入り込みます。
ひざかけ、カーディガンなどでこまめに冷えないよう調節しましょう。特に、下半身は温かく保てるよう注意することが大切です。
遠赤外線効果のある下着や靴下も多く出回っています。上手に利用するといいですね。 - 腹巻
- 身体が冷えると、心も身体も緊張します。反対に、身体が暖まると、リラックスし、血流もよくなり、心もほっと幸せになりますね。
生活習慣、ファッション、食生活などで冷え症や不妊の方が急増している中、若い方でも着用したくなるようなかわいい腹巻も多く売られています。 - 温灸
- 身体を温める方法として、カイロも一つの方法ですが、皮膚の表面だけを温め、身体の内部までは温まりにくい可能性があります。
温灸は、心地よい熱さの灸療法です。熱が身体にジワジワ浸透することで、身体の芯まで温めることができます。温めることで、「気」や「血」のバランスをとり、身体の内を流れる経絡の流れをスムーズにします。
ツボのあたりを温めるだけで、身体に溜まっている毒を排出し、血流をよくし、ホルモンバランスを整えるなどの効果があります。
(「4000年の健康法」より 医学博士 邵輝 著)■子宮を元気にするツボ・関元(かんげん)へその下約5cm下の位置 婦人病全般、理不順、冷え1症の改善・神闕(しんけつ)へその位置消化機能回復 生活習慣病・気衝(きしょう)左右の股関節の位置 生殖器の病、不妊症 - 運動
- 定期的に運動することで、筋肉量が増えたり血液循環がよくなります。
このことは体温を上げ、身体の内から冷えを解消できるので、とてもお勧めしたいことです。
ウォーキング・ヨガ・太極拳・ストレッチなどゆるやかな動きのある運動が効果的です。子宮や卵巣に多くの血液が流れることで、子宮・卵巣が元気になり、女性としての若さが保たれ、冷えが解消されます。
また、運動で身体を動かすことで、ストレスが解消され、心の安定も得ることができます。ただし、激しい運動は避けること。激しい運動は、コレステロールを燃やします。
女性ホルモンは、コレステロールが原料ですので、燃やしすぎは、不妊の原因になり、ホルモンバランスも乱す原因になります。 - お茶
- ■紅茶
緑茶は身体を冷やす性質がありますが、紅茶は発酵させているので身体を温めます。
紅茶に身体を温める効果のあるすりおろし生姜を適量プラス。お好みで、白砂糖をミネラル豊富な黒砂糖にすれば、効果がさらにアップ!■ほうじ茶
ゆっく時間をかけて、焙煎するほうじ茶は身体を暖める作用に優れています。
黒豆ほうじ茶黒豆には、血を増やし、ホルモンバランスを整えるうれしい作用があるといわれています。
市販の炒り黒豆をほうじ茶と一緒にあわせると、香ばしいお茶が楽しめます。■ウーロン茶
ウーロン茶は、半発酵されているので、体を温める働きがあります。■梅醤番茶
梅1個に醤油をティースプーン1~2杯入れ、熱い番茶を注ぎます。身体が温まり、胃を温め、血の巡りがよくなります。食欲増進にも効果があります。■柚子茶
番茶や紅茶に柚子のシャムをティースプーン1~2杯入れれば身体が温まり、気持ちが安らぎます。リラックス効果もあり、風邪の予防にもなります。 - 卵巣マッサージ
- 身体のエネルギーが流れる「経絡」をマッサージすることで、卵巣にエネルギーや血液が流れ込み、温まります。
1日1~3回、 10分くらいを目安に手のひらでやさしく撫でるようにマッサージするのがいいでしょう。■任脈(にんみゃく)
おへそに親指を当て、小指の当たる部分が任脈。
このあたりは、生理や不妊など女性ホルモンに関係の深い経絡です。
子宮や卵巣の位置にあたり、温めることで、血液の流れがよくなり働き、ホルモンのバンスがよくなります。生理不順・不妊症にお勧め。■腎経(じんけい)
足の内側のくるぶしから股関節の内側に沿って走っている経絡です。女性にとって、卵巣・子宮機能を元気にする作用があります。
マッサージや温めることにより、下半身に滞っていた血液が戻りやすくなり子宮や卵巣に栄養を与えます。
ストレスがホルモンを乱します
妊娠するためには、卵巣が大きな働きをしていますが、卵巣が働くには、脳からの指令がないと働きません。
脳の視床下部より脳下垂体に、卵巣がよく働くように命令しなさいというホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモンGnRH)を出します。
脳下垂体は、この命令ホルモンを受け、卵巣へ卵胞を成長させなさいという命令ホルモン(FSH)を分泌します。
その命令ホルモンを感知した卵巣は、妊娠するための卵胞を育て始めるのです。
このように、妊娠するためには、脳が大きな役割を持っています。
では、ホルモンを分泌する深夜、大きなストレスを抱え、不安な気持ちで寝ていると、脳は命令ホルモンを十分に出すことができるでしょうか?
ストレスをかかえた脳は、妊娠するための大事なホルモンを出すことができません。
このようなことから、ストレスを溜めないことは、妊娠するためにとても大事なことです。
誰しもストレスは避けがたいものですが、そのストレスを溜めない工夫が自分を助けます。
・周りはみんな妊娠している
・身内から子供はまだ?と聞かれる
・不妊治療を続けても、妊娠できない
などのストレスを多くの方からお聞きしますが、不妊の方が持ちやすいこのようなストレスは、上手に解消することが望ましいです。
子供がいない夫婦二人だけの時間は、人生の時間の中も、体力や時間や気力がたっぷりある自由で貴重な時間です。
「子供がいない」という気持ちばかりを持っているより、今を楽しむ努力をしていると、不思議に赤ちゃんが授かることがよくあります。
心の持ち方や生活の楽しみをほんの少し工夫してみることで、いろいろな今の楽しみが得られます。
楽しむことで身体が生き生きします
●趣味を楽しむ
・旅行
・写真
・植物を育てる
・ペットを飼う
●お風呂で楽しむ
・音楽を聴く
・読書する
・身体の手入れをゆっくりする(マッサージ・爪の手入れ)
・照明を変える
●アロマテラピー
植物から抽出したエッセンシャルオイルには脳を刺激し、心や身体をリラックスさせたり元気にさせる効果があります。
好きなエッセンシャルオイルを選び、コットンに含ませ、胸元にしのばせたり
お風呂に数滴、落としてアロマバスを楽しんだり、アロマポットを焚いてお好きな香りの中で過ごしたり・・・・。
お好きな音楽でもかけ,リラックスできる環境を作りましょう。
- サイプレス
- 日本の「ヒノキ」に似た香り。イライラした時など、ゆったりした気分になるエッセンシャルオイル
- ジャスミン
- 自身を取り戻し、前向きに考える勇気が湧いてくるような気分になるエッセンシャルオイル
- ベルガモット
- 落ち込んでいる時、明るく前向きで、元気な気分にしてくれるエッセンシャルオイル
- ゼラニウム
- 心が不安定な時に、落ち着いた気分にさせるエッセンシャルオイル
妊娠に悪い影響を与えるもの
- ダイエット
- 無理なダイエットは、卵巣や子宮に大きな影響を与えます。状態によっては無月経になる恐れもあります。
- 激しい運動
- 過激な運動は、女性ホルモンのバランスを崩す原因となる場合があります。
女性ホルモンは、コレステロール(脂肪)から作られていますので、脂肪を燃やす激しい運動は妊娠によい影響を与えません。 - タバコ
- 喫煙は、卵管への悪い影響を与えます。喫煙すると、血管が縮み血液の流れが悪くなるともいわれています。
卵子の着床がうまくいかない恐れもあります。 - 太りすぎ
- 太りすぎは、食事のコントロールや運動などで、改善しましょう。
ホルモンの分泌に影響を与える場合があります。
余分な脂肪は、ホルモンのバランスが乱れやすくなります。
一番大切なこと
子供は、天からの授かりものです。だからこそ、授かるように準備を
しっかり整えて待つということが大切なことでしょう。
そして、また、子供は夫婦二人の宝です。子供を欲しい気持ちは、ひとまず横に置いて二人の生活を楽しむという「ゆとり」や 「豊かさ」も忘れないでいてくださいね。
今、すぐに妊娠できなくても、あせることはいりません。子供がいなくても、今を楽しむことが、大切です。
夫婦の愛情があれば、必ず子供は授かります。その日が来るまでの間、楽しく、仲良く過ごすことが大切です。
夫婦で過ごす二人だけの時間も大切な宝物です。
二人で、今の時間を大事に過ごすことは二人の絆がより深まりることです。
なかなか子宝に恵まれないでいる辛い気持ちを二人で分け合い、力を合わせて乗り切ることも二人の絆を深めます。
その二人の絆が、やがて巡り合う子供へのすばらしいプレゼントになると思います。
子供は、夫婦の愛情を感じながら、学び、育つからです。
夫婦二人の貴重な時間を大切に過ごしてください。具体的には、おしゃれして夫婦で外食や観劇してみる恋愛小説を読むなどすると、女性ホルモンの分泌が活発になり、妊娠力も上がります。