なかなか妊娠できない原因「隠れ高プロラクチン血症」

           


 カテゴリー: どうしたら妊娠できるの?, 日常生活と不妊・妊娠しやすい身体作り

M様は神奈川県在住の43歳の方です。
卵胞卵子の育つ期間である低温期が短い症状があり、卵巣機能が低下していることが判断されています。
そのため卵巣へ行き渡る血液を豊富にし、疲れた卵巣を元気にする養生をお勧めしています。

ところが、食生活や日常生活の見直しと改善をされてもなかなか改善しませんでした。
カウンセリングでお話をお聞きする中、「毎晩寝言・歯ぎしり・夢をよく見るを言う。」ということが見えてきました。

これは「潜在性高プロラクチン血症」という症状の可能性が考えられます。
夜間に起こるいろいろな症状が判断の決め手になるため、なかなか症状の確認が難しいのが特徴です。

プロラクチンとは

プロラクチンは、成長ホルモンの一種で母乳を作る大切なホルモンです。
色々なホルモンの働きをコントロールする脳の下垂体から分泌され、「乳汁分泌ホルモン」とも呼ばれています。

プロラクチンは、妊娠中は乳腺を発達させ、出産後には母乳を作るなど、たいへん重要な働きをしています。他にはホルモンを調整したり、ストレスを調節させたりする働きもあります。

妊娠したら多く分泌されるプロラクチンですが、何らかの原因で、妊娠していないのにプロラクチンが多く分泌されてしまうのが高プロラクチン血症です。

高プロラクチン血症の種類

高プロラクチン血症の中には、常に検査数値の高い「顕在性高プロラクチン血症」と、夜間や身体の体調の悪い時に高くなる「潜在性高プロラクチン血症」の2種類があります。

潜在性高プロラクチン血症とは、日中は血液中のプロラクチン値が正常であるのに、夜になるとプロラクチンが多く分泌されてしまうという症状です。

高プロラクチン血症は不妊の原因

夜間にプロラクチンの値が高くなることで、卵巣から分泌されるエストロゲンの分泌が少なくなり、以下のような症状が出て不妊の原因になる場合があります。

  • 卵胞卵子の成長が妨げられる
  • 排卵が起こらない
  • 無月経
  • 子宮内膜の成長を妨げる
  • 高温期が短くなり、黄体不全などの原因となる

潜在性プロラクチン血症は、普段の生活や医療機関の昼間の血液検査では見つけにくいことが特徴です。なかなか妊娠しない方で原因不明や心当たりのある方は、早い目に脳神経外科の医師に相談してみるのが得策かもしれません。

治療するための養生としては、十分な睡眠、生活習慣の改善が大事になります。処方される内服薬を服用することで、改善される方が多いです。

プロラクチン血症になりやすい人

高プロラクチン血症の原因は、脳にできた良性の腫瘍の他、以下のようなことが原因となる場合があります。

  1. ストレスをためやすい人
  2. 夜勤がある人
  3. 睡眠の質が悪い(睡眠時間が短い人 夜寝言を言ったり、夢をよく見たり、歯ぎしりをかむという方も要注意です。)
  4. 精神安定剤や抗鬱剤の服用が中期にわたっている方
  5. 胃炎、胃潰瘍の薬を長期服用の方
  6. 抗アレルギー剤を長期服用の方

などの症状がある方に起こりやすいと言われていますが、今のところあきらかにされている原因はわかっていません。

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